history for peace’s blog

このブログでは、history for peace がイベントのお知らせや活動報告を随時配信していきます。

【開催報告】継承カフェ 夏休み&終戦記念日スペシャル 〜身近な人の戦争体験をシェアしてみよう〜

戦後76年を迎えた現在、戦争体験者から直接お話しを聞く機会は年々減っています。
当事者がいなくなる日が近づいている今、戦争体験を継承していくために私たちにできることはなんでしょう?

history for peaceでは昨年から『継承カフェ』と題した、戦争を体験していない世代の継承活動を行っています。※過去のイベント詳細はこちらをご覧ください。

今回は、終戦記念日に合わせた特別版として、10〜20代の皆さんが聞いた(調べた)、ご家族の戦争体験をお聴きするイベントを開催しました!(2021年8月14日)
 

 


本イベントは「話し手」と「聞き手」、2回に分けて参加者を募集し、話し手に応募してくださった方には事前に、戦争体験を持つ方へのインタビューの仕方、スライドのまとめ方、皆さんの前での話し方などのテンプレートをご用意しました。

今回の話し手は3名。うち2名は、初めてご家族の戦争体験を詳しく聞き取りした学生さんでした。
 

〈1人目〉13歳の被爆体験〜祖母からの聞き取りでわかったこと〜

 
history for peaceのスタッフでもある大学生の金子桃子さん。広島での被爆体験を持つおばあさんに、この夏、初めて詳しくお話しを聴きました。
76年の時を経て語られた体験談の紹介だけでなく、聞き取りをしてみた率直な感想を含めた想いを話してくれました。
 

〈2人目〉父と永遠の別れになった満州からの引き揚げ〜祖母の体験した壮絶な終戦と戦後〜

 

高校生の篠永南紬海(なつみ)さん。幼少時に満州からの引き揚げを体験されたおばあさんの記憶と、ひいおばあさんから4代に渡って語り継がれた終戦〜戦後のお話しを紹介してくださいました。
おばあさんは現在も地元の中学校で毎年平和授業を行っているそうです。
おばあさんへのインタビューを通して、十代の篠永さんが感じた素直な想いが伝わるすばらしいスピーチに、参加者の皆さんが心を打たれている様子が見て取れました。
 

〈3人目〉特攻隊の出撃するまちで〜若者が見た陸軍飛行場と空襲〜

 

目達原飛行場佐賀県)で100名近くの方に戦時中の体験談の聞き取りをした福岡幸博さん。
今回は、同飛行場で空襲を体験されたご親族のお話しとともに、飛行場の成り立ちや特攻隊についてなどを、詳細な地図や画像を混じえてご紹介くださいました。
非常に丁寧かつ綿密な調査内容で、テレビの特集番組を見ているかのようなスピーチでした!
 

3人のお話しに対する質問・感想

・(戦争を体験した親族が、敵国であったアメリカや日本の政府など)誰かを憎いといった感情を持っていないことを話し手はどのように解釈したのか?
・これまで、親族の戦争体験を聴く機会はどのくらいあったのか?
・自分も戦争体験を持つ家族がいるので、これから聴いてみたいと思った。
・親族に戦争体験を聴くにあたり、うまく話を引き出すコツや工夫したことはあるか?
・戦争体験者が少なくなる中、私たちが直接話しを聴くことのできる最後の世代だと感じた。
など

3人のお話しを聴き、聞き手の皆さんがご自身の親族に戦争体験を聴いてみたいと思っていただけたと感じました。

継承カフェの取り組みについて・今後の継承活動について感じたこと

・(ノンフィクション作家の保阪正康さんによると)戦争体験の継承には三段階ある。一段回目は直接体験者による継承。二段階目はその子供や孫世代による継承。継承カフェの活動はまさにこれにあたり、大切なことだと思った。三段階目は体験を切り離して歴史化すること、戦争を起こさないためにどうしたらいいかということだが、一足飛びにはその段階にはいかないので、今回のような取り組みは大変意義があると感じた。
・戦争の直接体験者でない若い人たちのスピーチを聴いて、とても新鮮だったし、心に響いた。
・絵や映像などビジュアル化した継承活動はどうか。
・長野県で行われている活動に演劇がある。戦争体験の聞き取りをし、それを脚本に起こして演じるという形式。

全体を通して

今回の参加者は20名でした。10代から70代の方まで、多様な世代の方々にご参加いただき、スタッフ一同感謝しております。

本イベントに参加してくださった方々の満足度は、これまで同様高く、90%以上の方に「満足した」「ある程度満足した」とアンケートにて回答いただきました。
 
全体の様子

今回の報告は以上となります。

history for peaceでは、今後も本イベントを継続していきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。